原油が下がると円高になる

原油価格が下落し世界経済が混乱すると安全資産である円が買われて円高になる。

この、一見筋が通っていそうでよく分からない相関関係について考えてみました。

そもそも円や日本国債はそれほど世界からは信用されていないと思うのです。格付けだってそれほど高いわけではありません。政府債務がGDPの2百数十%もある国の通貨は外国から見たら信用できませんよね。

世界経済が混乱して他国の通貨が弱くなるから相対的に日本円が買われるかといえば、そんな単純ではありません。

日銀は極めて大規模な量的緩和を行っていますが、これはCPI(消費者物価指数)を上げてデフレから脱却するためです。CPIが上がるまでの時限措置ですから、いずれはやめないといけないのです。そして、量的緩和を止めてしまうと、これまで買い支えていた日銀が買ってくれなくなるわけですから、国債価格は下がります。国債価格の下落は円という通貨の下落につながり、円安になります。

従って、CPIが上昇すれば、量的緩和の終了が近づくので、円安になります。

では、原油価格が下落するとどうなるでしょうか。電気代やガソリン代だけでなく、物流費が転嫁されているあらゆる商品の値段が下がり、デフレになります(またはインフレ率が下がります)。デフレになれば量的緩和の終了の時期が遠のくので、国債価格の下落の日も先送りされます。

国債価格が下がらないことが分かれば、日本円は安全資産であると考えられるので、円が買われることになります。

風が吹けば桶屋が儲かるような話ですが、これが「原油が下がると円高になる」真相ではないかと想像いたします。