静岡マラソン

静岡マラソンに行ってきました。  

赤羽ハーフマラソンで左足を痛めて以来、足の調子が今ひとつだけど、せっかく申し込んだので行けるところまで行ってみようと、参加することにした。  

赤羽ハーフが2月8日。11日にインターバルの練習会があったけれど、あまりの痛さでジョギングのみ。15日は砧公園で芝生走に参加。芝生のおかげで足の負担が小さく、ペースもゆっくりだったため、3時間を走り抜く。翌週の東京マラソンは外れたので駒沢公園でペース走に挑戦。8キロくらい走ったところで給水を摂ったところ、給水後にランニングを再開すると急に痛みが出てきて中止。結局10キロくらいしか走れず。 

満足な練習ができないまま本番に突入。しかも、天気予報は雨。 
早朝のため駅まで行くバスもなく、テンションは上がらず。新幹線で行くと、静岡まではあっという間。落ち着く間もなく会場に到着する。 

先週のランスマでサブフォーの走り方というのをやっていた。金哲彦が周りのランナーを引き連れて4時間で走るという番組だった。それくらいならいけるかもしれない。そこでサブフォーのペース、キロ5分半を目指すことにする。 

が、いざ走り出すと、最初の1キロこそ5分17秒とまあまあ予定どおりのペース。でも、いつのまにか速くなっている。次の1キロはほぼ5分。その次は5分を切る。ゆっくり走っているつもりなのに、キロ4分40秒程度までペースアップしてしまう。  
  
こうなると、もしかすると調子いいんじゃない?、と勘違いが始まる。近くにいた美しいフォームで走るランシャツランパンの女子を見つけ、少し遠目についていく。周りのランナーをどんどんと抜いていく。 
  
5kmを24'27"、次の5kmは23'54"だった。今振り返ればオーバーペースだったということになるけど、走っている間はそんなことは全く考えなかった。このまま最後まで行けるような気持ちになっていた。 
  
10kmを過ぎると足に違和感が現れる。最初は小さな違和感にすぎなかった何かは、少しずつ形を変えて痛みに変わっていくのが感じられる。痛みの大きさに合わせて、不安も膨らんでいく。 
  
静岡は10キロでスタート地点である駿府城に戻ってくる。11kmの標識で立ち止まる。ペースを落として走るのか、それとも途中棄権するか。屋根のあるところを見つけてしばらく悩む。結局、ゆっくりでも完走しようと考えた。そろそろと走り始める。でも、雨の中で体が冷えたせいか、痛みは立ち止まる前よりも大きくなっている。50mも行かないうちに、ストップ。棄権する。 
  
まだ静岡駅から離れていなかったので、雨の中静岡駅まで歩く。荷物は清水駅までトラックで運ばれる。電車に乗って清水まで行く。棄権する可能性はある程度想定できたので、1000円札を持ってきていた。 
  
電車で行くと、先頭ランナーより先にゴールに到着。チップを返却しに参加賞引換所に行くと、ボランティアの盛大な拍手に迎えられる。「お疲れ様でした〜」の声も聞こえる。この上なく恥ずかしい。まだ先頭ランナーは39km地点だって実況が聞こえるじゃないですか。まだ増田明美さんが解説してるじゃないですか。 
  
体力的には余裕があるのに、棄権せざるを得ないのはつらい。最初の予定どおり5分半のペースで走っていれば、あるいはゴールできたかもしれない。きちんと設定したペースで走る「我慢する力」が足りないのかもしれない。高い参加費と交通費を無駄にしてしまった自責の念が押し寄せる。 

翌日、整形外科へ行くと、医者から「びわ湖出たの?」と聞かれた。出られる訳がない。説明をすると、びわ湖はエリートランナーしか出られないことは理解してくれた。「そうなんだ。びわ湖はエリートレースなんだね。別府とかもそうなの?」別府には出たことがあること告げると、「別府は誰でも出れるの?」と言われた。面倒なので否定するのはやめた。 

レントゲンも撮られたが、特に悪いところはないとのこと。診断は、大腿二頭筋断裂。ただ、怪我をしてから時間が経っているのでインテンシブな治療はありません、とのことだった。「インテンシブな治療」というのは、整形外科に通う一般市民には通じるのだろうか。僕はよく分からなかった。ともあれ、走るなとも言われなかったので、それほど大したことはないのだろう。 

2012年の館山若潮マラソンでやはりハムストリングを怪我して、3年間は大きな怪我をせずにやってきた。僕はずっとフォームが小さいと言われてきたけれど、怪我をしなかったのは、この小さいフォームのおかげだったのではないかと思う。ダイナミックに腕を振り、ストライドを大きくすれば、それだけ一歩一歩の足への負担が大きくなる。ストライドが小さければ逆に負担が小さくなるのだ。だからこそ、レースを走っても筋肉痛はあまり出ず、毎週レースに出ても平気だったと考えれば符合する。 

先日の練習会でコーチから、もっとピッチ走法で走ることを心がけましょう、と言われた。しかし、普通に走ってもピッチ走法の僕は、それ以上ピッチを速くすることはできなかった。ピッチ走法は足への負担が小さい反面、心臓への負担は大きい、というのが僕の仮説である。いつも足より先に心臓が悲鳴を上げて息が切れてしまう。コーチと話をすると、足は心臓へのポンプの役割をしているので、もしかするとそういうこともあるのかもしれない、と言っていた。 

そこで、逆にピッチではなくストライド走法を心がけるようにした。インターバルでは他の人より一歩を踏み込む。トラックを蹴り、流れを掴むように意識する。ペース走ではなくスピード練習を主体にする。そんな練習をしてハーフマラソンに挑んだ。予想以上のスピードで走れたものの、足の方は予想外のスピードについていけずに断裂したというのが今の状態ではあるまいか。 

1キロ以下のダッシュばかり繰り返して、いきなりハーフマラソンで結果を出そうとするのは、あるいはむしが良すぎたのかもしれない。少しずつ距離を伸ばしながら、あるいはペース走のスピードを少しずつ上げていきながら、適正なペースを探るべきだったのではないか。スピード練習とスタミナ練習のバランスの欠如がこのような事態を招くことを、もっと自認すべきだったのではないか。 

そんなことを考えさせられた。ひと月を無駄にして、またスタート地点に戻ってしまったが、僕は経験からしか学べないのだ。 

 

5’17” 5’01” 4’46” 4’40” 4’44” 5km 24’28"
4’48” 4’50” 4’39” 4’46” 4’50” 10km 48’21"
4’58”